あたしは楠が好きだって、ちゃんと気付いた。
それまではよかった。
「愛梨、アンタさっきからソワソワしすぎ…」
「きき、緊張してるんだよーー…あはは」
「へぇーーー…?」
意味ありげな目つきであたしを見上げる結衣。
本当は緊張よりも、昨日の出来事が頭の中で繰り返し再生されてることのほうが心臓を高鳴らせた。
だって、だって、あたし昨日の晩…く、楠とッ……!!///
「なんだ、緊張してんのか」
「さっき言ったでしょ、結衣それ聞くの二回目…ん…?」
声が…低い…?
閉じた目をゆっくりと開いた。
「く、楠ッ!!!!?」
「俺以外に誰がいんだよ、バカ」
あたしの目の前には、緊張の様子も全くうかがえない、お姫様の姿が。
「チッ…クラスの女子共にヒール履かされた…歩きにくい」
「ぷはっ(笑)似合ってるよっ!」
「テメ、バカにすんのも大概にしろ!!」
こうやって話してはいるけど…顔が見れない。
「…オイ」
ビク
あたしを呼ぶ前のこの低い、鼓膜を震わせる甘い声。
頭より先に体が反応してしまう。
