午後12時。


     ゴーン、と
     音を鳴らして
     いる時計が、
     正午をお知らせする。


     今日は、少し
     身体の弱ってきた、
     前の執事、長瀬は
     72歳で執事をやめ、
     現在は普通のおじいちゃん
     として生活している。


     その長瀬に
     代わる執事を
     家に招くという
     ことで、今、あたし、
     桜ヶ丘学院中学校
     2年A組の、北条財閥
     お嬢様!


     北条まりあは、
     その執事を待っています。




    「 ねえ、セシル? 」

    「 何でございますか、
      お嬢様 」

    「 まだ執事は
      来ないのかしら? 」

    「 もうそろそろで
      到着すると、
      お父様から
      電話が、つい先ほど 」

    「 そう、わかったわ 」