妄想店長~大人と子供~

 カウンターを挟んで私の前に立つ貴方の髪から透明な雫が幾つも滑り落ちる。

 首に、肩に、胸に、きらきらと落ちる宝石の様な雫。

 なんて事はない、それは排気ガスを含んだ雨水。

 貴方の髪で、頬で、肌で輝いているけれど、その正体は汚染された雨水に過ぎないんです。

 すぅっと私の心に冷たい風が吹き込んだ気がした。

 大丈夫、私は大人です。

 冷静に対応しましょ。

 タオルを渡してやる私は、やっぱり笑顔。

 それなのに貴方はどこか困惑した表情で俯いてしまった。

 あぁ、辞めます、と言いに戻って来たのですね?

 良いんですよ。

 言って。