「はい、そこまでです。」
やってしまった。
私が気付いたのは、小娘の右手を掴んだ後でした。
小娘の気が済むなら良いと思っていたのに。
体が動いてしまった。
さて、どうしましょう?
「放してよっ!関係ない人は邪魔しないで!」
涙でグチャグチャの顔を怒りに赤くして叫ぶ瞳が睨んでいる。
笑顔の私が余計に気に入らないでしょうねぇ。
「嫌です。ここはアタシの店、香塚サンはアタシの部下、君はどう見てもお客様じゃない。さて、関係ない人は誰ですか?大事な部下が仕事のミスもしていないのにアタシの店で殴られるのは、アタシの中ではナシなんですよ。」
押さえた右手はそのままで、空いた左手で小娘のグチャグチャの顔を拭いてやる。
余りにも酷い顔で爆笑しそうだったからです。多分。

