「えっと、今日からでも構いませんけど。急ぎなんですよね?」
真っ直ぐに私を見て言った子供に、おや?と違和感を覚えたのがいけなかった。
履歴書に視線を落としてしまった私は、この時既に負けていたのかもしれない。
「えぇっと、香塚竜哉サン。じゃ、このまま出勤という事で宜しくお願いします。アタシは谷川翠です。好きなように呼んで構いませんからね。」
履歴書の名前を読み上げ年齢欄に目を移す。
二十一歳。
目眩がしそう。
年齢差を確認するのを止めて貴方に笑顔を向けた私は、やっぱり違和感で。
宜しくお願いします。と言う貴方は真っ直ぐ私を見つめ、それはそれは不機嫌そうに私への嫌悪の意思を向けていた。
そして、私はとてもこの子供が気入った。

