「翠さん、何考えてんだよ?」
貴方の黒い瞳が、私が近づく度に大きく揺れる。
ベッドの上で上半身を起こそうとした貴方の肩を、私はゆっくり両手で押し戻した。
「この状況で海賊が考えている事なんて一つでしょ?お姫様。」
貴方を笑顔で見下ろして、貴方の肩に掛かる手に力を込めれば、ほら、完璧な構図。
攫われた姫君は海賊に美味しく頂かれるんですよ。
助けに参上する白馬の王子なんて来やしません。
大海原にいる海賊に白馬に乗った王子はどうする事もできないんです。
世の中そんなに甘くないんですから。
ね。
「だから、何の妄想だよ?いつから俺はお姫様なんだよっ!」
私の言動に突っ込みなからも、貴方の声は焦りの色を含んでいる。
「竜哉サンがその顔を素直に止めないからですよ?アタシの中の海賊が目覚めちゃって。」
そう、素直に体調不良を訴えて私に甘えていれば良かったんです。
意地を張って隠そうとした貴方が悪い。

