右手で貴方の右の手首を掴むと、私は吃驚した顔の貴方の瞳を見上げて微笑む。
抗議の言葉を言おうと開かれた貴方の言葉を、私は貴方から視線を外す事で黙らせた。
そのまま、貴方に背を向けると強引に引っ張って歩き出す。
貴方は躓くように引かれながらも余り抵抗しない。
熱の所為でしょうか。
いとも簡単に私に引き摺られる貴方。
そのまま、カウンターの奥のスタッフルームへ行き、更にその奥の私の住処へと歩く。
小さな玄関に足を踏み入れた時、やっと貴方は小さく手を引いて抵抗した。
私の住処に入るのは初めてですからね。
私自身、他人を招き入れた事なんかありません。
綺麗に改装されていますけど、さして広くはない私の住処は、リビング兼ダイニングキッチンと寝室のみで人を招待する広さはないんです。
他人に私のプライベートを見せる必要もないですし。

