もう10年も経つのか。
10年というと長い気もするが、改めて考えてみるとそれはあっという間の日々だった。


田舎から出てきたあゆみが
大阪で大学生になったのはちょうど10年前。


馴れない土地で
不安だったが
大学で出来た友達にも恵まれ
わいわいと楽しく過ごした4年間の大学生活



必死に就職活動をし、
ようやく内定をくれた音楽関係の会社で働いた6年。


その時間があるから
今の私がいる。
今の私が好きだと言ってくれる彼がいる。
そんな彼と結婚できる。
こんなに幸せなことはないはずなのに



胸がざわざわするのは何故だろう
今まで生きてきた道に
何か落としてきてしまったような気がするのは
気のせいだろうか。
だがその落とし物が
一体何なのかがわからない。
そうあゆみはここ最近悩んでいた。