彼の事情、彼女の…。





ほろり・・・。

ほろり・・・。



アカネの瞳から一粒・・また一粒と涙が溢れて来た。



アカネの瞳はゆらゆらと揺れていて、もう、あのガラス玉ではなかった。



溢れた涙は、次々と勢いを増していったけど、アカネは涙を拭おうとはしなかった。




俺は、ハンカチなんて気のきいたモノは持ち合わせていないから・・・ゆっくりとアカネの頭に手を伸ばし・・・俺の胸に押し当てた。



ジワリジワリと濡れていく俺の制服。



いつの間にか・・・アカネは声を上げて・・・子どもの様に泣いていた・・・。