「・・・なあ、アカネ?逆に聞くけど・・・もし、俺が一生お前と一緒に居る事にして・・・それでお前はさ、幸せになれんのか?」



「・・・・。」



アカネの右目から零れた一粒の涙は、アカネの心から溢れ出た感情。


頑ななアカネの心の壁に入った、一筋のヒビ・・・だと思った俺は、静かに声を掛けた。



「俺はさ、アカネの事、恋愛感情で“好き”になる事は無いと思う。そんな俺と付き合って、結婚して、子ども産んで・・・それでアカネは幸せか?」



「・・・幸せよ。だって、ジンが側に居てくれるんでしょ?それなら・・。」



「・・・俺達が付き合ってた頃も・・幸せだったか?虚しくなかったか?」



「・・・そ・・れは・・・。」



俺とアカネは・・もう、一度付き合って・・経験してるんだ。


『お互いが向き合っていないのに、付き合う』と言う事を・・・。



「あの時、悲しくて淋しくて・・・虚しかったんじゃないか?だから・・・俺に言ったんだろ?」



『私とバスケとどっちが大事なの?』って・・・。



「なあ、アカネ。俺と一生一緒に居るって事は・・・あの時の気持ちが一生続くって事なんだぞ?お前は・・・それで本当に幸せになれんのか?」