本当は、初めて会った時から“もしかして”って思っていた。






尋に纏わりつく彼女。


尋達は『彼方狙い。』って言って疑いもしないけど…私の目にはそうは映らない。


彼女の行動も言葉も、彼方を好きなように見せかけてるけど、実は…。




『尋が好き。』

『私を見てほしい。』

『私の気持ちに気付いて。』




そんな風にしか見えないんだ。




だってほら、今も…、



「ジ~ン。見て見てェ。新しいグロス付けてみたんだァ。似合うかなァ?」



廊下のど真ん中で尋の腕に自分の腕を絡めてそう言う彼女は、凄く嬉しそうで…。



「うん。良いんじゃない?」



そう尋に言われると、嬉しい中にほんの少しの恥ずかしさが見てとれて…。



目が…凄く優しくなってる。