『だ、誰に・・・殺されかけたのですか?』
「それは言えませんね」
そう言って猫を撫でていた。

『あのー病院ってペット連れちゃダメなんじゃないですか?』
「みんなから見えないから良いんです」
『見えないって・・・?』
谷山さんは、ベッドの隣にあったイスに座りながら淡々と話し始めた。

「最初から詳しく話しますね。
まず、あなたは事故に遭われてあなた自身の体は、今眠っています。
所謂(いわゆる)、幽体・・・ってとこでしょうね。
あなたが居るこの世界は、死と生の境、当然あなたのお母さんや友達さんには見えないのです。」

お母さんと美穂をそっと見た。

「私は、あなたの支配人です。」
『支配人とは?』
「あなたをサポートしていくのです。
もし、あなた本体の身に何かあったら・・・
死を見送ることが私の仕事です。」
『なるほど・・・』

ーガラガラ

誰かが病室に入ってきた。

『徹(トオル)!』
徹は私の彼氏。

後ろで谷山さんが、顔をしかめていたことなど私は知らない。