「ねえ、みちる、最近翔平学校に来ないね。具合でも悪いの?」
学食で一緒に食事をしてから三日後、大学の教室で美樹が私に聞いてきた。
「知らない」
私は唇をとがらせた。
「翔平、出ていったの。電話にも出ないの」
翔平はある日いなくなった。二人で暮らしていた私の部屋はとても、とても静かになった。
美樹は長いストレートの髪をかきあげた。
「みちる、翔平と喧嘩でもしたの?」
美樹はきれいだ。長いマツゲ、大きな瞳、赤い唇。
私は美樹の顔をじっと見てひとこと言った。
「うん、そんなとこ。でも翔平が悪いの」
私はチョコレートをひとかけら口の中に入れた。
甘い快感が口の中いっぱいに広がって、私の気持ちは落ち着いた。
大好きだって言ってくれた。
みちるが一番でこれからも一番で何があっても一番大好きで……
ずっとずっと変わらないって約束してくれた。
私は翔平の愛の言葉を聞くだけで甘い甘い気持ちになれた。
そんな言葉を聞くだけで体の中を快感が走った。
チョコレートを食べた時に感じる快感よりも、もっともっと心地よかった。
授業が終わって私はまっすぐ家に帰った。風が強い。
マフラーが、コートのすそが風になびく。
とても寒い。
私はコンビニで夕食を買った。新作のチョコレートを両手に抱えるぐらいいっぱい買った。
両手に買い物袋をぶらさげて家へむかっているとポケットの中の携帯電話が震えた。かじかむ手で電話を取り出す。
メールが入っていた。
『返事ください。会いたいです』
私はすぐにメールを削除した。
「嘘つき」
私はつぶやいた。
チョコレートをひとかけら口の中に入れた。また少し気持ちが落ち着いた。
寒い、寒い、私は足早に家へ向かった。
私が住むアパートは駅から少し離れている。オートロックでもない。たいして広くもない。
それでも私にはそんな事どうでもよかった。翔平がいれば何もかもどうでもよかった。
学食で一緒に食事をしてから三日後、大学の教室で美樹が私に聞いてきた。
「知らない」
私は唇をとがらせた。
「翔平、出ていったの。電話にも出ないの」
翔平はある日いなくなった。二人で暮らしていた私の部屋はとても、とても静かになった。
美樹は長いストレートの髪をかきあげた。
「みちる、翔平と喧嘩でもしたの?」
美樹はきれいだ。長いマツゲ、大きな瞳、赤い唇。
私は美樹の顔をじっと見てひとこと言った。
「うん、そんなとこ。でも翔平が悪いの」
私はチョコレートをひとかけら口の中に入れた。
甘い快感が口の中いっぱいに広がって、私の気持ちは落ち着いた。
大好きだって言ってくれた。
みちるが一番でこれからも一番で何があっても一番大好きで……
ずっとずっと変わらないって約束してくれた。
私は翔平の愛の言葉を聞くだけで甘い甘い気持ちになれた。
そんな言葉を聞くだけで体の中を快感が走った。
チョコレートを食べた時に感じる快感よりも、もっともっと心地よかった。
授業が終わって私はまっすぐ家に帰った。風が強い。
マフラーが、コートのすそが風になびく。
とても寒い。
私はコンビニで夕食を買った。新作のチョコレートを両手に抱えるぐらいいっぱい買った。
両手に買い物袋をぶらさげて家へむかっているとポケットの中の携帯電話が震えた。かじかむ手で電話を取り出す。
メールが入っていた。
『返事ください。会いたいです』
私はすぐにメールを削除した。
「嘘つき」
私はつぶやいた。
チョコレートをひとかけら口の中に入れた。また少し気持ちが落ち着いた。
寒い、寒い、私は足早に家へ向かった。
私が住むアパートは駅から少し離れている。オートロックでもない。たいして広くもない。
それでも私にはそんな事どうでもよかった。翔平がいれば何もかもどうでもよかった。


