花も摘み終わり、だいぶ日も落ちてしまった。

「もう帰らなきゃ」

「そうか…」

そう言った彼の横顔はどこか寂しそうだった。

だけどあたしが「また明日」って言うと彼は少し嬉しそうに「…また明日」って返してくれた。



「ただいま!」

「お帰りなさい。遅かったのね」

「うん…ちょっと時間かかっちゃって」

あたしは本当のことを言わなかった。

いや、言えなかった。

彼と約束したから…


「絶対オレのこと言うなよ」


「そう。早く手を洗ってらっしゃい。ご飯できてるわよ」

「うん」

それからは毎日彼と会うようになった。



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