「依緒ちゃーんっ!

かーえーろっ」



1組の教室を勢いよく開けた。
けれど、


「依緒なら、5組のイケメンに呼び出されてったよー」

という返事が返ってきた。



「そっかー。
ありがとう」


しょんぼりした気持ちで教室のドアを閉めると、
あたしは元来た廊下を戻ろうと体の向きを変えた。

そのとき、



「うわあっ」

大きな影にぶつかって、あたしはそのまま尻もちをついてしまった。




「あっ、ごめん!
大丈夫?」


上から、声が降ってきたかと思うと、
大きな手が差し出された。



「あ、えっと…」


「もな!」


廊下の向こうから依緒ちゃんがあたしを呼ぶ声がした。