「…その台詞って、内申のために言ってんの?
それともアンタ、この教師が好きなの?」


「―――ッ!」


一睨みすると女は、ビクッとして言葉を飲み込んだ。


おいおい、一応否定とかしなくて良いんですかぁ?



「まぁ、あたしには関係ないんだけど。」


長いため息を吐き出すあたし。


外以上にこの教室は、こいつらの怒った顔で暑すぎる。



「…清水も宮本も、俺のために喧嘩してくれるのは嬉しけど、とりあえずクラスメイトだし仲良くな?」


丸く収めようとしたのか岡部は、ははっと笑って。


とりあえず、この馬鹿も睨み付けた。



「…女王様、マジご立腹じゃん。」


「ムチ出るかな?」


ヒソヒソと、男共がそんな話をし始めた。


てゆーか、そんなもん持ってないし。


いい加減頭が痛くなりそうで、再び机の上に投げていたバッグを取って立ち上がった。


折角次の国語は受けようと思ったのに、これじゃ台無しだ。


誠も来てないので、一緒にサボることも出来ないし。


廊下の窓からサンサンと注ぐ日差しに、肌に薄っすらと汗が滲んで。


纏わりつくように校舎中に篭る熱気が、

あたし目掛けて襲って来てるのかと錯覚してしまうほど。


雲のひとつもないほどに晴れ渡った空に目をやった。


望むばかりで一向に変化すらない毎日。


期待してたわけじゃないけど、もぉ本当に、疲れ果てた。


さすがのあたしも、今度ばかりは泣きそうで。


帰ってニモのDVDでも観ようと思った矢先。