あれからとりあえずムカついて、岡部の英語と、嫌いな数学と化学をボイコット。


別に日焼けしたいわけでもないのに、

遮るもののない屋上の直射日光が、あたしを突き刺すように降り注ぐ。


チャイムが鳴って授業の終わりを教えてくれたので、

やれやれとあたしも、ゴザを片づけて屋上を後にした。


ちなみに、暑くなったのでバッグには、タオルとうちわが仲間入りだ。





「清水!」


教室に戻ると、何故か居る岡部。


怒ってる理由は明白だけど、あたしが悪いんじゃない。



「…いい加減、授業に出ようとか思わない?」


「思わないけど?」


作ったようなその顔を見ることもなくあたしは、自分の席へと腰を下ろした。


クラスメイト達が、そんなあたし達の会話を遠巻きに見守る。



「…留年したら、また一年嫌いな学校に通うことになるんだぞ?
だったら、授業出た方が得じゃないのか?」


並べる言葉は、どれも教師然としていて。


だけど裏を返せば、何としてもあたしを自分の家へ通わせたいのが見え見えだ。



「…アンタは生徒に人気だから、学校も楽しいだろうね。
大方、生徒のことエロい目で見てんじゃないの?」


「―――ッ!」


瞬間、岡部の口元が引き攣った。


正確には、“あたしのことを”なんだけど。



「…清水さん。
清水さんのこと思って言ってくれてる岡部先生に対して、そーゆー言い方ってないんじゃない?」


瞬間、割って入ったように見るからに“学級委員長です”的な女が声を上げた。


クラスメイトだってことはわかるけど、名前までは存じ上げない人物。


てゆーか、アンタには全然関係ないだろ。