「…アンタ、ホントに教師に向いてないね。」


今日は生姜焼きだった弁当を食べ、

明日の小テストの答えを一通り紙に書き写した清水は、

疲れたのか足を投げ出している俺の膝の上に頭を置いた。



「…お前も十分生徒にゃ向いてねぇよ。」


そう言って俺は、最後の煙を吐き出しながら煙草を消す。


可愛い可愛い清水の顔に、煙草の灰でも落ちたら大変だ。


うん、何て優しい俺。



「…退屈ー…。
てか、毎日つまんなーい…。」


口を尖らせながら言う清水の髪の毛を手櫛で整えてやりながら俺は、

思わず笑みを零してしまった。



「…じゃあ、試しにSMでもヤってみる?」


瞬間、白い目で清水は、俺を見上げる。



「…やめてよ、そーゆー趣味。
あたし、興味無いんだけど。」


口元を引き攣らせるその顔に、思わずブハッと笑ってしまった。


だけどそう言ってるってことは、

どうやらSMクラブに就職が決まったわけではなさそうだ。



「…なぁ。
俺、マジでお前のこと好きになったんだけど。」


「―――ッ!」


“またコイツは”と、まるで顔に書いているようだ。



「…俺、毎日毎日お前のこと考えてんだよねぇ。」


「…悪いけどあたし、魚嫌いな人は嫌いなの。」


そう言って清水は、やれやれと言った表情で体を起こしてしまった。


急に膝の上が寂しくなって、ちょっと不貞腐れる俺。


そして、相変わらず意味のわからない言葉。



「…だからぁ。
俺、めちゃめちゃ魚好きじゃん。」


「絶対嘘だね。」


挙句、睨まれてしまった。