私の指を解放して、きゅうりは上半身を起こす。そしてまたにやりと笑った。
舐められたところに風が当たって冷たい。でも身体はマグマみたいに燃えてきつつある。
「・・・・・」
「トマト?」
「・・・・・」
「おーい、また真っ赤になってるぞー」
「くっ・・・くっ・・・」
「く?」
「楠本さんの、バカーーーーー!!!」
ようやく手を引っ込めたけど、動揺して大切なアイスを落としそうになる。
慌てて受け止めた。
い・・・いいいいいいいい今のは何だああああ~!!!
もう、耳どころか顔どころか首筋も、手も足も全部真っ赤になっているのが判った。
「何だよ、人のことバカ呼ばわりなんざ、態度悪いな」
「たっ・・たっ・・・態度が悪いのは楠本さんです!!何でいきなりあんなことするんですかー!!」
唾を飛ばす勢いで噛み付く私を高いところから余裕気に見下ろして言った。



