トマトときゅうり



「あ、ならスプーンもう一個貰ってきたらよかったですね。貰ってきましょうか?」

 同じスプーンを共有するなんて、そんな恥ずかしいこと完全にキャパオーバーだわ。折角の味がわからなくなる。

 腰を上げかけると、前に立ったきゅうりが身をかがめた。

「これでいい」

 ――――――――へ?

 蓋をもっていた私の手から蓋を取り上げてベンチに置き、そのまま手を掴んで私の指をアイスに突っ込んだ。

 そして何と、アイスとクリームを掬い取った指ごと自分の口に入れたのだ。

「ひゃあ!?」

 顔がっ・・・目の前にっ・・・!!ってゆーか、てゆーか!!指!指!!


 ゆびーーーーーーー!!

 あたしの指なめてるううううううううううーーーーー!!!

 丁寧に舐めとっても、多分、5秒くらい。

 指先にきゅうりの熱い舌を感じて固まった。

 私は呆然としたまま、舐められている指を引っ込めることも出来ずに、目の前にあるつやつやの黒髪を見つめていた。

 ・・・・神様・・・・今、何が起こっているのでしょうか・・・。


「・・・んー。・・・美味い」

「・・・・・っ・・・」

「ん、美味いな、確かに」