きゅうりが買ってくれている間に外で待っていた。一緒にレジ前に並ぶ勇気はなかった。だって、レジのお姉さんの視線が・・・。
お待たせ、と差し出されて、ありがとうございます!とお礼を言う。
「わーい、嬉しい~!これ中々買えないんです」
「ん?たまにしかない商品か?」
歩きながら、きゅうりが首をかしげる。
「違いますよ。そうじゃなくて、これちょっと高めなんです。資金が潤ってて、どうしても食べたい時でないと、とても買えないんです」
なんせ、私はアルバイトの身。
社会保険つきであるとは言っても所詮時給で働く組なのだ。家賃が安いところに住んでるから何とか生活していけているだけで、本当は社会人になった機会にと実家へ仕送りもしたいとこなんだけど・・・。
ハッキリ言って、極貧の私です。
喜ぶ私を横目でみて、ふーんときゅうりが考え込む。
「トマト、一人暮らしか?バイトでやっていけんの?」
ぐさっ。
思わず自分の足に引っかかってこけそうになるのを堪えた。
うう・・・就職活動に失敗した私にはまだキツイお言葉ですわ・・。
「就活で失敗して、正社員になれなかったので。家賃が安いとこにいるんで、今は何とかやってますけど、その内また就活はしなきゃなんです・・」
照れ隠しにテへへと笑う。
エリートの営業であるきゅうりとは、大げさでなく「住む世界が違う」はずだ。それを考えると少し悲しくなる。



