トマトときゅうり



 ――――――――――春が来た。


 日がのびて、まだ明るい夕暮れの街を歩いていた。

 隣にはきゅうりが居て、相変わらず格好よく、意地悪されたりからかわれたりは変わらないけど、前よりも頻繁に、あのとろける様な優しい笑顔で見つめてくれる。

 私も変わらずおっちょこちょいで、小さなことにもきゃあきゃあ騒いで喜んだり凹んだりするけど、一年前とは確実に笑顔の頻度が違っていた。

 季節が一回りして、何と色んなことが変わったのだろう。


 優しい風が吹いて、髪を揺らす。

 目を細めて桜の花びらが舞うのをみていた。


「ほら、トマト。―――――――おいで」


 私を呼ぶ、背の高い男の人を振り返る。



 にっこり笑って、きゅうりの手を取った。








トマトときゅうり。終わり。