年が明けて松の内が過ぎても、長谷寺様からの解約の申し出はなく、青山さんときゅうりが年始の挨拶に訪れた際、長谷寺様は「娘と保険は関係ない。きっと娘が君らを困らせたのだろう」と笑って一連の事を一蹴して下さったらしい。
青山さんが胸を撫で下ろして喜んでいて、事務としてもほっとした。
そして、もうひとつ。
最後の雪が降った、2月の終わり。
霧島部長から人事の担当者の来所を告げられて行ってみると、何と正社員として契約を更新してくれると言われた。
あなたの評価はかなり高いし、アルバイトにしておくには勿体無いと上司の推薦もあったので、と。
しばらく理解できなくて、あんなに望んだ正社員になれるんだってことに、上手に反応できなかった。
仲間さんたちが盛大にお祝いしてくれて、やっと実感できたくらい。霧島部長にお礼を述べて深深と頭を下げ、振り返るとそれを見ていたらしいきゅうりの優しい瞳に会った。
その祝福と判る笑顔に、心までほっこりしたのだ。泣けるほど嬉しかった。
大学の友達と飲み会をした時にも報告出来て、今度は咲子が私に抱きついて喜んでくれた。
私は自分が誇らしくて飛び跳ねる。いつも唇をかみ締めていた自分の部屋の、小さなテーブルに花を飾って、一人でもお祝いをした。
良かったね、私。
よく頑張ったね、って。



