トマトときゅうり



 目の前にはにやりと笑うきゅうり。

「確かに腹減ったな。・・・また、トマトの収穫しようか?」

「ばっ・・・!!」

 何てことをー!!

 いくら鈍くてもさすがの私でもそれは判った。もう!と言ってぺちぺち叩くと、くくくく・・・といつもみたいに嬉しそうに微笑して、私を腕の中から解放する。

 あ、すんなり離してくれたな。

 ・・・ってことは、やっぱり、きゅうりだってお腹空いてんじゃん。

 もう、と文句をいいながらも顔がにやけてしまう。

 昨日と同じキャミソールにパーカーを羽織り、布団から抜け出して台所まで部屋を横切る。

 足には力が入らず若干こけそうになったけど、そこは意地で耐えた。

 リモコンを探してエアコンをつける。

 鼻歌が出る勢いで、まず台所を片付けだした。

 お皿を洗って、お湯を沸かし、コーヒーを淹れる。朝食は、卵とハムとパンでいいかな。あ、りんごがあったはず―――――――

 本当に狭い部屋なので、すぐ近くには毛布に包まるきゅうり。

 後ろから伸びて、私の髪や腕や足や腰を触る、甘えてくる彼の手を払う。すると苦情が聞こえた。

「・・・つれないなあ、トマト」