トマトときゅうり



「俺は、お前が欲しい」

「・・・・は・・」

「お前が俺を好きなのは判ってる」

「へ?」

 うん?何だって?!と思って変な声を出したら、きゅうりが口の端を持ち上げて、にやりと笑った。

 いつもの、私をおちょくって遊んでいる時の顔だった。

「バレてないとでも思ったのか、トマト?」


 ・・・・な。なななななな・・・

 ―――――――何だってんだああああああ~!!!?

 何なのよこの俺様男は!?上から目線だっつーの!

 全身の血が顔に向かって猛然とダッシュしたのを感じた。私は真っ赤になって、つい身を乗り出す。

「わっ・・・わわわわ私は!!別に・・・」

 毛布を握り締めて必死で言葉を繋ごうとする私を見て、きゅうりはくくくく・・と笑った。

 目を細めて、口元を緩ませて。

「色々可愛いかったけどなー」

「かっ・・・?!」

 可愛いという言葉が耳に引っ掛かって、また赤くなる。

 あぁ・・・駄目。完全にキャパオーバーだわ・・・。