トマトときゅうり



 最後のセリフを聞いて恐れおののいた。

 もし、そうなっていたら・・・私、きゅうりを拒否出来ただろうか・・・。

 ま、今すでに部屋の中にいるんだから、考えても仕方ないよね。

 きゅうりの視線を感じる。

 私の避難所の中まで・・・。どうしよう、これ以上逃げ場がない・・・。私は毛布に包まれて、膝に顔を埋める格好で、座り込んでいた。


「昨日」

 息を吸い込む音がして、きゅうりが静かに話しだした。思わず体を縮める。

「・・・俺は、説明もせずに連れて行って、振り回した。混乱させて悪かったと思ってる」

「・・・それは・・もういいです・・」

 何とか搾り出した私の言葉は無視して、きゅうりは続ける。

「言葉が足りてなかったんだ。俺は判ってるつもりでいたから、ちゃんと言葉にしなかった」

 ・・・何を判ってるつもりだったんだろう。顔を上げれなくて、きゅうりの言葉を拾おうと耳に意識が集中する。

「・・・・長谷寺さんから逃げる為の口実だったんじゃない。瀬川と、付き合いたいと思っていた」

 思わず、顔を上げた。


 真面目な顔したきゅうりが、そこに居た。