鍵をかけ、携帯の電源を切って投げ捨て、部屋の真ん中で服を脱ぎ捨てる。

 バスルームに飛び込んで、頭から熱いシャワーを浴びた。

 バスタブの中で白い湯気に包まれて、私は顔をあげてシャワーを受け止めていた。

 これでもう安心してちゃんと泣ける。

 やっと、声も出した。

 今はとにかく、体から感情を全部出してしまおう。

 辛いときはいつもそうしてきたように。

 狭いバスタブにうずくまり、頭の上からお湯を被りながら、へとへとになって考えれなくなるまで泣きに泣いた。

 そしてフラフラと上がって、ザッとだけ全身を拭き、布団に倒れこみ、深い深い眠りについた。




 夢も見なかった。