トマトときゅうり



 間近にある、今は閉じられた綺麗な形の目。

 はらりと落ちて、おでこをくすぐる黒い前髪。

 柔らかく押し付けられる、あたたかい唇。

 冷え切った私の体は溶かされ、瞳も唇も熱を持って震える。

 キスだ。

 これは、キスだ。私、今、きゅうりに―――――――――

 左頬に当てられていたきゅうりの右手は私の後頭部に移動し、強く引き寄せてしっかりと唇をつなぎ合わせる。

 きゅうりが薄く目を開けたので、慌てて瞼を閉じた。この状態で彼の目を見る勇気なんてカケラも持ってない。

 押し付けていた唇を少し離して、きゅうりは私の下唇をぺろりとなめた。

「・・・開けて」

 ―――――え、何を?

 と思って、つい目と口を開けてしまった。

 至近距離の熱っぽい視線に絡め取られて、思考は完全にストップする。

 その間にまた近づいて、開いた唇の間にきゅうりが舌を差し入れてきた。

 さっきまでの優しく心身を溶かすキスとは全然違った。

 ただガツガツと貪るような、熱くて激しい奪うキス。

 後頭部に回した手に力を入れ、角度を変えて何度も貪られる。

 激しすぎて呼吸が出来ない。