トマトときゅうり



 助手席に回ってドアを開けて乗り込み、深く座り込んで、ため息をついた。

 ・・・ああ、色んなことがあってただ今頭が混乱中―――――――

 ――――と、運転席から身を乗り出したきゅうりの手が、私の頬に触れた。

「え」

 パッと隣を振り返る。

 きゅうりが運転席から身を乗り出して、私をじっと見詰めていた。

 ・・・ええと・・・・あのー・・・。呟きは声にならない。切れ長の瞳にうつる自分をただ見ていた。

 きゅうりは黙ったままで右手の親指の腹で私の頬を撫でる。その感触に体が震える。

「・・・冷たいな」

「・・・・」

「連れ出して、巻き込んで、体も冷やしてしまったな。――――――――悪い」

 じっと見つめるその瞳に、吸い込まれそうになる。

「・・・くす、も・・・」

 私の唇は塞がれた。

 呼びかけた名前はそのままで消えてしまう。

 何も反応が出来ないまま、目を大きく開けて固まっていた。


 ・・・・・きゅうりが、私に、キスしてる――――――――。