ニコニコしてスーパーへ寄る。思ったとおりにクリスマス用の惣菜は沢山並んでいて、しかも夕方とあって割引シールが貼ってあるものもあった。
わーい、と声に出して好きなものを2つばかり買う。それと、ミニシャンパン。今日はこれで一人でお祝い。翌日のパンやヨーグルトも買って、足取りも軽く部屋へ向かう。
駅前で、既にDVDは借りてあった。胸がスカッとするようなアクション映画と、好きな俳優が出ているラブコメ。
暗くなった街を粉雪を風で撒き散らしながら自分のアパートまで歩く。
鼻歌が出るくらいには上機嫌だった。雪と夜と私。何かちょっといい感じじゃない?って、恋人がいないことを寂しく思う情緒もなかった。
駅に近いので考え事なんかしていたらいきなり部屋が目の前にあってビックリすることがよくあったが、今日は違う意味で本気で驚いた。
階段を上って、踊り場についた時に気がついたのだ。
部屋の前に、誰かがいる。
私の部屋の前に、誰かが立っているのだ。
「・・・」
大家さん?とか色々考えたけど、暗くて見えない。出来たら大家さんであってくれ。いや~・・・でもあんなに大きくなかったよね。やっぱ、違うよね。
どうしよう・・。これじゃ入れないけど、男の人っぽいし、うーん・・・と思って目を凝らしていたら、声が聞こえた。
「・・・瀬川?」
「・・・・・!!!」