・・・何とかしてあげたいけど、こればっかりは。
ノルマは毎日、毎週、毎月のことで、可哀想だからと、例えば私が契約すればいいってものでもない。客になるのではなく、事務として何か出来ることはないだろうか。
青山さんの今までの契約で思い出せるものを探る。何か・・・ヒントでも・・。
弁当箱を閉め急に黙ってしまった私に気付いて、きゅうりが覗き込んでくる。
「おい、もう食べないの?・・・って、お前が悩まなくてもいいんだぞ?」
「・・・・」
「・・・おい」
「・・・・」
「・・・おーい、聞いてるか?」
「・・・・」
「トマト?・・・・瀬川千尋」
前にある鉄の手すりに頭をぶつけそうになった。
「・・・フルネームで呼ぶのやめてください。びっくりしますから」
「いや、反応ないからさ。お弁当、食べろよ、時間なくなるぞ?」
きゅうりが苦笑して、更に覗き込んでくる。既に背中は壁についているので、もうこれ以上さがれない、と気付いた時に、羞恥心が襲ってきた。
―――と、同時に天啓が降ってきた。
「・・・2年後の長谷寺さん!」
いきなり叫んだのに驚いて、きゅうりが離れる。
「うわあ!・・・何だ??」



