そんな事を考えていたら、履きなれない高いヒールが駐車場の段差に引っかかった。
「きゃあ!」
ぐらりとよろけて目を瞑る。
絶対冷たいコンクリートにぶつかる~!と思っていたのに、いつまで経ってもその衝撃はやってこない。
・・・あれ?
そういえば、腰のあたりを捕まれて――――――――――・・・・
「あぶねーな。酔っ払いめ」
きゅうりのハスキーな声が耳元で聞こえてパッと顔を上げた。それが悪かったらしい。倒れかけた私の腰を抱きとめてくれたらしいきゅうりの顎に、自分の頭をぶつけてしまった。
ゴンっといい音がした。
「痛っ!」
「ひゃあ!す、すすすすみませんーっ!!」
慌てて何とか自力で立つ。まだ腰に手を回されたままでくるりと向き直り、至近距離のきゅうりの顎を指先で撫でた。
「ごめんなさい~っ!痛かったですか?痛かったですよね!ひゃああ~赤くなってる~・・・」
ウダウダいいながら赤くなってしまったきゅうりの口元を指で撫でる。痛いの痛いの飛んでいけ~!盛大に心の中で呪文を唱えた。



