顔を、顔の赤面だけでも戻したい~。
しばらく必要のない書類の破棄をしたりして時間を潰し、さすがに体が冷えてきてやっとこさ立ち上がる。
ファイルを戻し、鍵を閉めて事務ブースを出る。電気を確認して、ドアを閉めた。
「すみません、お待たせしました」
出たところで壁に背をつけて待っていたきゅうりに小走りで近づいた。
エレベーターを待つ間、お互いに黙っていた。ぶおん、と機械の作動する音が聞こえる。
しんしんと冷えてくるエレベーターホールで、黙って立つ。きゅうりは何考えてるんだろう。
いつもよりラフな姿のきゅうり。艶のある短い黒髪は夜も遅いというのに綺麗に後ろに梳いて整えてある。切れ長の目。高い鼻梁。じっと見てみたいけど、隣にたってりゃ正面から観察は出来ないしな・・・。暇にまかせて少し考える。うーん、バレずに、きゅうりをじっくり観察する方法は・・・。
「何考えてんだ?」
いきなりボソっと声が聞こえたから、ビクっとして肩が震えた。
「ひゃあ!・・・い、い、いきなり低い声で話しかけるのやめて貰えます?」
びっくりした反動でまた真っ赤になって、急いで言葉をつないだ。まさか、きゅうりの事考えてたなんて言えない。
「ええっと・・・さ・・寒いから、この分だとクリスマスには雪かなって」
頭1個分高い場所からちらりと私を見下ろして、きゅうりはため息をついた。



