お酒も入ってるし、友達とたくさん話したことで心は澄んで、心底楽しい気分だった。
お洒落をしていて、隣には好きな人。気負いもなく話せてる、これが幸せでなくって、一体何よ。
まだうふふふと笑っていたら、きゅうりがヤレヤレと小さく呟く。
「ほら、ついたぞ。そろそろお口閉じて案内してくれないか?」
車庫が閉まっているので一時預かりに車を預けて、きゅうりとビルの守衛さんのところに許可を取りにいく。
「お疲れ様です」
守衛さんは私の格好をみてびっくりしていたけど、理由を話すと何も言わずにビルをあけてくれた。
事務所が入ってるビルは冷え切っていた。
「薄着じゃないか?寒くない?」
エレベーターに乗ってボタンを押しながらきゅうりが聞いてくる。
「大丈夫です。素肌にダウンコートって、暖かいんですよ」
確かにワンピースは薄着だが、そのまま羽織っているダウンコートは直に肌の熱を保って暖かい。
「それに、かなりお酒飲んでますし」
鼻歌が出そうな勢いで言うと、きゅうりがふと笑った。
「確かに機嫌もよさそうだなー。こっちも有難いよ。お礼はまた、改めてするから」
「いいですよ、お礼なんて。たまたま近くにいたわけで、2次会も終わってたし」



