・・・これは、お酒の影響である、と自分に言い聞かせる。開いた襟元から目が放せなくて困った。
「前に言ってた、友達の結婚式の2次会だったんです」
照れ隠しにツンとした表情を作る。
きゅうりは周りを見回して、合点がいったように頷いた。会場のレストランからはまだ数人の2次会出席者が出てくるところだったからだ。
「・・・ますます悪いことしたな。友達とまだ話したりとかあったんじゃないか?」
頭に手をやって、きゅうりが困った顔をしていた。
「もう終わったので大丈夫です。楠本さんは今日でなきゃだめなんでしょう?」
「うーん、それはそうだけど。本当に申し訳ない。会社連れてくから、シール頼む」
頷いて、きゅうりの車体の低い車にもぐりこんだ。中はほかほかと温かく、そこはかとなくきゅうりの匂いがするようだった。
・・・だから、駄目だってば私!自分で突っ込む。これは、お酒の影響である、はず・・・。
気を紛らわせるためにきゅうりに話しかけることにした。
バーコードシールを駄目にしたいきさつを聞いてみると、意外だった。
きゅうりには兄弟がいるらしく、その兄さんが自分の子供、つまりきゅうりにとっての姪と妻を連れてきていたらしい。
きゅうりの部屋で皆で食事をして、5歳の姪は一人で遊んでいた。



