クラッチバックでほっぺをぶって、頭を振る。いやいやいや・・!落ち着け、自分!酔ってるからだぞ、自分!
頼んだコーヒーをブラックでぐいっと飲む。バックから鏡を出して、目元と口元を簡単に化粧直しをした。
咲子はああいったけど、ほんと、有り得ないことだと思う。二人の会話を聞けば、咲子だってきっと――――――――
エンジン音がして、窓越しに道路を覗き見たら、黒い車からきゅうりが降りた所だった。私を探してきょろきょろしてるようだったので、急いで会計を済ませて、外に出る。
カフェのドアの鈴の音に気付いて、きゅうりが振り返った。
「楠本さん」
近づいていくと、きゅうりが目を見開いてこっちをみているのに気付いた。
何で?と思って自分の服を見下ろし、パーティーのおめかし仕様だったことを思い出す。
「・・・あのー。楠本さん、どうしました?」
声をかけたら、一瞬ハッとしてような顔をして、それからいつもみたいににやりと笑った。
「・・・いや、ビックリしただけ。トマトだと判らなかった。えらくおめかししてんじゃねーか」
そういうきゅうりも、一旦スーツを脱いだのだろう、ネクタイなしで、シャツの上からコートを羽織ってるだけらしく、開いた首元が見えていつもより色っぽさが増していた。



