保険契約を頂くのに、面接士さんが被保険者との面談に必要な書類には、事務上のバーコードシールを貼ることになっている。
営業は被保険者の健康状態について、個人情報で知ることは出来ない前提なので、面接士さんが直接被保険者と面談している間は同席出来ない。
そして、面接士が直接記入した書類は面接士本人の手によって密封された上、直接本社送りにするためポストに入れられる。
支社の人間がその後の作業を円滑にするために、事前に書類に事務バーコードを貼っておかないと、後で誰の面談書類かが判らなくなるのだ。
で、その事務バーコードのシール部分が、汚れてしまった、ってことらしい。
明日朝一番のアポで使う書類の、事務バーコードを汚してしまったから、シールを張り替えないといけないが、仲間さんも杉並さんも捕まらない。明日朝一番で車で1時間は掛かるところだから、朝早くでなく今晩のうちに用意しときたい。
『そんなわけで、会社の事務所の鍵と事務員の机を開けれる人間が必要なんだ。仲間は電話に出ないし、杉並さんは家が遠い上に子供さんが熱を出したらしいから、頼めない。瀬川、頼めるかな?』
さすがに自分の用事を頼むときには下手にでるんだなあ~と俺様営業のきゅうりには珍しい申し訳なさげな口調を聞いて、思った。
ちらりと後ろを振り返る。
皆コートをきて、立ち話をしながら待ってくれていた。
まだまだ皆と話足りないけど、とにかく今は私しか動ける人間がいなさそうだから、仕方ないか、と諦めて、携帯を手で押さえて早口に皆に説明する。
「ごめんね、今日は私ここで別れるね。また、年あけたら新年会しよう。―――――お待たせしました、大丈夫ですよ、私会社いけます」



