トマトときゅうり



 2次会の間中、そんな風に騒いで、お開きになった10時過ぎ、携帯の着信に気がついた。

「・・・あれ?」

 着信、あったんだ。全然気がつかなかった。

 見覚えのある電話番号だけど、登録してない人から12分前の着信。一瞬悩んだけど、クロークからコートを出して貰ってる皆を待ってる間にかけてみることにした。

 なんとなく、知ってる番号のような気もするし・・。一応、かけてみよ。

 混雑するクロークで端っこによけて、呼び出し音がなる携帯を耳に押し付ける。

 呼び出し音6回で相手が出た。


「――――――はい、楠本です」


 ・・・!??


 きゅうり!??


 ハスキーな声が直接鼓膜を打って、思わず携帯を耳から離す。

 どくどくといきなり心臓が活発に活動し始めた。

「・・・もしもし。瀬川?」

「あ、はいはい。瀬川です、お疲れ様です!」

 沈黙が長かったためにいぶかしげなきゅうりの声が聞こえて、慌てて携帯を持ち直す。