トマトときゅうり



 仲間さんがそう言い、何人かも立ち上がったので、頃合なのかな、と私も帰ることにする。事務の人たちと、お店を出たところで気がついた。

「あ~!・・・鍵、忘れた・・・」

 会社の自分の机の引き出しの中に、自宅の鍵を入れたポーチを入れっぱなしにしていることを思い出した。

 そうだ・・・今日、鞄変えて、失くすといけないと思って引き出しに入れて、昼休みに鞄に戻すの忘れてたんだあ~・・・。

「どうしたの?」

 がっくりと肩を落としていたら、声を掛けられた。

「すみません、私事務所に戻ります。自宅の鍵を引き出しに入れっぱなしでした・・・」

 心配する仲間さんたちに事情を説明し、事務所の鍵を預かって、ビルの下で別れる。

・・・もう、折角ちゃんと事務所閉めてきたのに~。詰めが甘いったら、私・・・。

 でも部屋に戻ってから鍵がないんじゃ本当に困っただろうから、まだ帰る前で良かったんだ、と自分に言い聞かせる。

 ビルの守衛さんに中へ入れてもらおうと一歩踏み出したところで肩を叩かれた。

「あれ?青山さん」

 青山が白い息をはいて立っていた。そういえば、今日の宴会には遅れてくるって言ってたな。アポがあるとかで。

「今戻られたんですか?」

「うん、店に行こうと思ったんだけど、瀬川さんがコソコソと行く姿が見えたから」