名前とは、いわゆる源氏名というもの。 前に働いてたお店では、 そういうものがあることすら知らなかった。 そのため、呼ばれてすぐ分かる名前と言われて、 本名の瀬里奈から取って"せり"という源氏名にしていた。 「変えた方がいいんですかね…?」 田崎さんに向けて、ボソッと言った。 「新しいお店に来たからね。変えてみたら?」 全くもって、何も思い浮かばない。 2分くらい集中して考えたけど、何も出てこない。 すると、私を集中モードから引き戻したのは田崎さんだった。 「―――まなちゃんは?」