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「どういうつもりだ?遥」

眉間に皺を深く刻む男に、遥は無表情で答える。
遥は正直この男が苦手だった。

「どういう、とはどのような意味でしょうか?」

「あの女は、私たちの母上を殺したのだぞ。
分かっているのか、お前は」

更に不機嫌になる男。
遥はその言い方に不快を感じるも、顔には出さない。

「知っておりますよ、兄上。
あれの傍にずっと居たのは、私です」

「分かっておらぬな、お前は。
あの女が憎くないのか?」

「兄上、私は__」

男の傍には、翡苑が控えていた。