淡紅色のドレス。
同じ色のチョーカーから胸元に向かって、繊細なレースが痣を見事に隠している。
動く度にふわりと空気を孕む裾。
見事なまでのそれは、まるで桜の花弁。
舞えば、きっと人目を引くほどに美しい。

髪は結い上げて緩く巻き、爪は磨き上げて透き通る。
彼女が一つの作品のように配慮された薄い化粧は杏の美貌を映えらせた。

ドレスと同じ色の瞳が輝く。

舞踏会に訪れた人は皆、彼女に視線を奪われるだろう。

「綺麗だよ、杏」

囁かれる声はひどく甘い。
彼女の大好きなその声が、彼女に自信を与える。
それを裏付けるための努力は語りきれない。

彼の隣に並び、腕を絡める。

彼女の頬は桃色に染まり、興奮を隠せない。

「行こう」

夢見た場所へ。

__夢の叶う舞台へ。