顔を洗って制服に着替え、髪をセットする。
鏡に微笑んでバッチリと呟くと、階下に降りて用意された朝食を食べる。

この家は杏と遥の二人で暮らしている。
家事は当番制。
今日は遥が朝ご飯の担当だった。
学校はお互い違うから融通がきかせやすい。
隣町に遥の両親がいるけれど、杏の記憶がある頃から二人は遥の祖母に育てられていた。
だから祖母が亡くなった後も、この家でこうして暮らしている。

杏は食べ終わった食器をシンクの水に浸しておく。
朝はこのままにして、帰ってから洗うのが常だった。
歯磨きを終えて火の元を確認し、鞄を持つ。

__そのとき、玄関のチャイムが来客を知らせた。