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＿＿本当は、ただ羨ましかっただけなのだ。

彼女が何もかもを持っている気がして。
欲しいものを全部、手に入れられる権利を最初から持っている気がして。

彼女はいつも笑っていた。
呑気だな、と半ば呆れていた。

どんな嫌味を言われても。
どんないじめを受けても。
助けた私に、ありがとう、と。
そう言って、笑った。

彼女はどんなことにも屈しないように思えた。
それが幸せを手に入れる条件のようで、悔しかった。
私には到底真似できないから。

けれど、あのとき。
彼女が傷つく言葉を、選んでぶつけた。
傷つくと分かっていて。
傷つけたくて。

案の定、彼女は信じられないというような目で私を見てきた。
心に傷を刻んだ。
彼女の顔から笑顔が消えた。
＿＿涙を流すことは、なかったけれど。

憎かったわけではない。
ただ、悔しくて。

けれど、彼女の笑顔は……仮初めだった。
彼女の足場は今にも壊れそうな薄い氷だった。

それを割ったのは、私＿＿。

彼女のあんな泣きそうな表情は、初めてだった。