遥の祖母は、以前舞姫だった。
舞姫を引退してからも彼女は舞を続け、杏と遥はその手ほどきを受けていた。
杏の目標は、彼女みたいな舞姫になることだ。
舞を見た人たちに元気と励ましを分けてあげられるような、舞を踊りたいのだ。
杏はまだ舞姫にすらなれていない。
学校に通うのはほとんどが貴族の娘だから、彼女たちが舞うのはほとんどが教養のためだ。
それに彼女たちがもし舞を続けたいなら自宅の催しで踊れるが、庶民の杏は舞姫になれなければ舞を見てもらえることすら難しくなる。
だから、なんとしても舞姫になりたかった。
そのための努力は精一杯やってきたつもりだった。
辛いときも投げ出そうかと思ったときも何度となくあったが、いつも遥が力になってくれた。
いつでも、遥との約束がまた歩き出す勇気になってくれた。
『俺は城の楽士になる。だから、杏は舞姫になって。
俺の作った曲で、そんな風に舞ってくれるのが見たい』
二人で、幸せを配る仕事をしよう。
あのとき見上げた空は、飲み込まれそうに蒼かった。
舞姫を引退してからも彼女は舞を続け、杏と遥はその手ほどきを受けていた。
杏の目標は、彼女みたいな舞姫になることだ。
舞を見た人たちに元気と励ましを分けてあげられるような、舞を踊りたいのだ。
杏はまだ舞姫にすらなれていない。
学校に通うのはほとんどが貴族の娘だから、彼女たちが舞うのはほとんどが教養のためだ。
それに彼女たちがもし舞を続けたいなら自宅の催しで踊れるが、庶民の杏は舞姫になれなければ舞を見てもらえることすら難しくなる。
だから、なんとしても舞姫になりたかった。
そのための努力は精一杯やってきたつもりだった。
辛いときも投げ出そうかと思ったときも何度となくあったが、いつも遥が力になってくれた。
いつでも、遥との約束がまた歩き出す勇気になってくれた。
『俺は城の楽士になる。だから、杏は舞姫になって。
俺の作った曲で、そんな風に舞ってくれるのが見たい』
二人で、幸せを配る仕事をしよう。
あのとき見上げた空は、飲み込まれそうに蒼かった。

