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秋の深まった頃だった。

たくさんの男たちが、私の寝室に侵入してきた。

城の警備はそう簡単に破れるものではない。
誰かが手引きをしたに違いなかった。

そして、当時の彼女の寝室は、扉の前に衛兵が居ないものの、遥の部屋の傍だった。
否、扉の前に衛兵が居ても、意味はなかったのかもしれない。

彼らは、窓から侵入してきたからだ。

邪悪なものを寄せ付けない術を発明したのは、この頃の彼女だった。
邪悪なものとは、殺気や邪気や、危害を加えようという意思のあるものを指す。
だからあのとき、魔に取り憑かれた杏は拒絶された。

しかし、彼女は遥と裕の部屋に仕掛けたものの、自分の部屋にはその術を掛けていなかった。

男たちは、安々と侵入を果たした。

彼女が人の気配に目を覚ましたとき、彼女は既に囲まれていた。
巨大な体躯の男たちに。

そうして、彼らは一様にいやらしい笑みで口元を歪めていた。

彼女は飛び起きたが、状況が理解できなかった。
わずか六歳の少女にこの状況を理解しろという方が無理な話である。

ただ、ものすごくまずい状況だということは理解できた。

いやらしい顔つきで、彼らは笑い合う。

『ひひっ、別に良いよなぁ?一宮様からの命は、こいつを王子から引き離せ、だし』

『ダメだとは命令されてないもんなぁ?』

『なあ?お嬢ちゃん、お兄さんたちと良いことしようか?』

はっきりと向けられた情欲の色。
初めて見るそれに、ぞっとした。

気持ち悪いっ!