__目の前に広がるのは、赤。
鼻につくのは鉄の臭い。
呆然と立ち竦む足から力が抜けて、膝をつく。
ぴしゃり、と跳ねる赤。
それが足を染め、顔に飛び散る。
床に力なく投げ捨てられた手は赤に塗れ、その生温かさに怖気が奔る。
適度にどろっとした、その液体は__鮮血。

「あ、あ、ああっ、あああぁぁぁっ!!」

現実とは思えない異様さに思考は動くのを拒否し、喉が張り裂けんばかりに叫んだ。

叫ぶことしか、できなかった。

そこに転がる骸が、誰のものかなんて__知りたくもなかった。