「美術館なんて、初めて来たよ」



そう言った先輩は、何だかキョロキョロして落ち着かないようで。



あれから、季節が1つ変わって。


秋も深まった頃、私の作品がコンクールの佳作に選ばれたとの連絡が入った。



「先輩、なんか可愛い」



こういう畏まった雰囲気が落ち着かないのか。


まだ見慣れない私服姿の先輩は、何だか幼い子供のようで可愛かった。



「年上に可愛いって失礼だろ?」



そう言って、先輩はツンッて私のおでこをつついた。



その時、私の視界に見覚えのある絵が入ってきて。



「先輩、ほらっ!」



慌てて私が指差すと。



「おぉっ!」



そう言った先輩は、急いでその飾られた絵に駆け寄って行った。