「これだったんだ……」



しばらく絵を眺めていた部長は、視線をゆっくり私に向けると。


そう言って、少し悲しそうに微笑んだ。



「これ…春也でしょ?」



ズバリ言い当てられ、私は言葉に詰まってしまった。


やっぱり、部長には分かってしまったらしい。



「春也のバッティングフォームって、独特だからね。川澄さんは…春也の事好き?」



部長の質問はあまりにも直球すぎて。


どう答えていいのか、正直分からなかった。



「私と春也がつき合ってるのは…知ってる?」



目を合わせづらくて、とりあえず頷き返す。



「……ごめん、正確には『つき合ってた』だった」



部長の言葉に、私は自然と顔を上げていた。


そして…初めて目と目が合った。



「私達、昨日別れたの」



それは、考えてもみない言葉だった……。