『今日は、野球部は体力づくりやってるはずだよ。信じられないなら…春也先輩に直接訊いてごらん』



悲しそうな顔で、祐梨ちゃんはそう言った。



今から学校に行って、春也先輩に直接訊く……。


訊くって、一体何を?




石川部長とつき合ってるんですか?とか。


どうして私にキスしたんですか?とか。


私の事…どう思ってるんですか?とかって事?




そんなの、訊けるわけないじゃない。


わざわざ…失恋の傷を深くしに行くの?




だって、怖いよ。


振られるだけなら、諦めもつくかもしれない。



だけど…もし、春也先輩がホントに私の事を遊びだと思ってたんだとしたら?



ただ振られるのより、ずっとずっと怖い。



きっと、もう誰の事も好きになれなくなってしまいそうで。



≪初恋は実らない≫


そう言うけれど。



こんな思いをするなら……。


恋なんて、知らなければよかった。